【天使のお接待様】

今までは朝の二時間は足もそこまで痛くなく歩けたのだが…

今日は違う!

すでに最初から膝も右足も痛いのだ。

13番寺まで歩いて、そこからバスで徳島駅まで入って靴を買いに行こう!

そう決めたのだった。

出だしはそれでも心の余裕もあり、歩けもまだしていた。

あー、良い天気だ~!気持ちいいな~

なんてね

がっ!

13番まであと二キロってなところで脚が痛すぎてもう歩けないっぽいぞ。。

ビキッ!

あっ!倒れる!

そのままガードレールに突っ込む形でもたれかかってしまった。
脚の踏ん張りがきかず立っていられなくなったのだ。

その刹那

キキーッ!

「乗っていき~!!!」

「あんた倒れとるやないの!
 のっていき~!」

ふと声がした方を見上げると

THE関西風のおばちゃんが!

ちょっとガキつかのおばちゃんにも似てたかもしれない。

わーお!ワイルド~!

などと瞬間的に思ったが脚が限界だ…。

これはもう甘えるしかないと思った。

私「お言葉に甘えます…すんませんです…」

よくよく話を聞くと、近所でお遍路用のお接待所をオープンしているそうだ。

お「そんな脚で通し打ちできんやろ~!」

お「東京帰り~!」

私「靴さえあえば…だから靴を…ごにょごに
  ょ…そうすれば大丈夫かと…」

私の疲れ具合とテンパりで話はかみ合ってないがなんとかコミュニケーションを取る。

かみ合って無い中で何かしらの会話をし13番寺の大日寺に到着。

お「ほな気をつけていくんやで~い!」

おおきに!!

さっそうと走り去るおばちゃんに心の中で何度もお礼を言い頭を下げる。

もうここまで来たら明日は乗せてもらった所から歩き直して頑張ろう。

その前に靴だ靴!

バス停の時刻表を見る。

あと一時間半か…。

もうここはお参りを済ましてしまおう申し訳なさもあるが。

【四宮さん再来の巻】

と、お寺へ入ったらば

四宮さん!!

四「あの後、思い出して心配してたんだよ
  ~。下りっていってもずっと山道だし、
  アスファルト痛いって言ってたから山道
  のあとずっとアスファルトだし道のりは
  宿まで長いしね~」

ホントだよチクショウ!笑

ここまでの経緯を説明しつつ雑談をして時間を潰す事になった。

そうこうしているうちに歩いていると札所で何度か見かけた男性外国人を見つけたので話に行くことにした。

オランダ人の40歳前後ということだけ聞いた。

オ「おー よく見かける君!」

私「おー よく見かけるあなた!」

そして雑談を開始した。

色々なところで旅をする事が好きで、今回も旅の数日はお遍路、
そのあとは京都に行って観光してそこから帰るんだということだ。

アニーさんのプランに似ているなと思うと同時に外国人の人は
そういうプランニングで来ている人も多いんだろうなと思った。

私「かくかくしかじかで靴が…そして仕事道具のタブレットとかが重くて…」

オ「昔の人はタブレット持ってなかったからお遍路できたんじゃないかな!」

面白いけど嫌味っぽいジョークだ。笑

その後も何度かタブレットネタを挟んでくる。

オ「日本人に次は京都だって言うとよ、寺巡れって言われるんだけど、
  もうイヤってほど今見てんだよって話だよ!」

そりゃそうだ。笑

その後もオランダ人は思った事はすぐにストレートに口に出す。でもそこに駆け引きは無いから楽だよ。とか、
中国人と何年も仕事してて20回以上、中国に行ってるけど顔は似てても日本人とは全然違うよね、とか、
日本人は遠回ししすぎてて大変だな~とか思うよ。など、意外と日本人事情に詳しくて驚いた。

そして荷物を置いていた場所に戻ると四宮さんがいた。

四「私、先週までマレーシアの駐在だったんだけど、君そこそこ流暢に英語喋るね!」

そこそこで悪かったな!笑

でも、これはちゃんと英語力というものを自分で体験してきた人の言葉なので正しい。

私の英語は何も知らない日本人から見たらペラペラに見えるだろうが、
英語をしっかりやってきた人が見るとソコソコという表現があっていると思う。

そうこうしているうちにバスの時間になった。

彼ら二人はもう数日で帰っちゃうということだったのでサヨナラをつげ私はバスへ。

※ちなみに人物写真が無いのは、職業柄あまり人にカメラを向けたくないからである。一昔前までは路上で知らない人にカメラを向けたらぶん殴ってカメラ壊される覚悟を持って向けろ。と言われていた時代もあったぐらいだし映像マンとしても私としてもカメラを向けるという行為が憚られるからだ。もうちょっと距離感が近くなったらば伺って撮るつもりではいるのだけれどね。

【最高のタクシー】

そして徳島駅まえに到着。

が、調べた結果、大きな靴屋さんが近くには無い。
迷ったあげく、ゆめタウンという近くの大きなショッピングプレイスへ行くことにした。

へい!タクシー!

乗り込んで事情を説明する。

運ちゃん
「ほんなら小さい靴屋じゃダメやろな」

運「やっぱり夢タウンやろな!」

運「いやな、近くに小さいとこあんねん。昔はそりゃ有名やったんよ!」

そこしかないからな!

お気に入りのギャグらしく何度か繰り返して、面白いので何度か私も本気で笑った。笑

淡々と言ってるので冗談かわからないテンションなのだがまたそれが面白い。笑

私「帰りもタクシー呼びたいんですがどうしたらいいでしょうか?」

運「ほな待っててあげるよ!」

私「えっ!?そりゃ悪いですよ。」

運「そんな時間かからんと思うしええよ」

本気で待っててくれたのである。

しかも待ち料金は取らないという優しさ。

そして靴屋へダッシュ。

店員さんを見つけ事情を細かく話し選んでもらう。

さすがの店員さん!

私の下駄足、幅広、甲高の足を考え、かつ今日までの事情を汲んでくれて何足か出してきてくれた。

私はSALOMONのXA PRO 3D V8 GORE-TEXという靴を履いていて申し分ないはずだった。
が、ジャストサイズを買ってしまったことと、SALOMONがスタイリッシュな作りをされてることが
合わせ技で降りかかってしまったわけだった。

お遍路は夕方になると足が1.5倍ほどに浮腫んで大きくなるということも
頭に入っていなかったことも大きな要因だった。

そして実際に足を採寸してもらう。

実寸25.5cm

おっ!?小さい!!

が、幅や甲をいれるとやはり26.5か27ぐらいじゃないですか普段?と。
さすがプロ、私は常にそのサイズあたりを買っていた。

店「このSALOMONも27cmなんですけど全然小さいですね。」

そして色々履かせてもらって決めた。

ニューシューズ!

GEL-NIMBUS 26

履いてみるとクッションの強さにまず驚く。
そして幅に合わせたのにつま先もそんなに余らずに非常に心地良い。

結局28cmのチョイスだった。

自分一人じゃこのチョイスは選べなかっただろうなと思う。

そうこうしていると

どうや?見つかったか?

なんとタクシーの運ちゃん登場。笑

運「いやー 最近の靴すごいな!」

運「ゴッツい軽いな!ホー!!」

運「しかし高いな。笑」

運「ほなら荷物持っていっとくで!」

私「えっ?重いですよ!?」

運「大丈夫だいじょうぶ!」

あなたが
ゴッドファーザーか!

結局そのまま待っててもらって、そして無事にホテルまで送り届けてもらった。

私「結願したら絶対連絡しますからね!」

運「おう!楽しみにしとるわ!」

帰り道でもどの県が雨が多くてとか、どの寺が商売で儲かってるとか、どの寺がヤバいとか。笑
そんな情報も頂きつつ帰路についたのだった。

涙が出そうになるのを堪えて、心からありがとうを感じながら想う事が多々あった。

ありがとう!

Fin.

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