【それぞれの旅路へ】

大変だった1日を超えて朝

慰めて下さった仲間たちに別れを告げ出発

ちなみに福さん

バスと電車で足摺岬までワープするらしい。笑

何キロも歩くなんて

やってらんねーよ!

との事

何なんだよこのおっさんは!笑

山歩きするって散々言ってたのに

歩かねーのかよww

昨日のダメージが色濃く残っているが今日の道のりも長い

そろそろわかってきたが

1日平均30kmって

体力があって、足が健康で、かつ荷物もちゃんと調整できてダメージがあまりない人じゃないとこなせないアベレージじゃないかと思う

普通は平均25km/日、45日くらいで結願するという記事をどこかで見かけた。

私が参考にしているサイトはどうもレベル高い…

もう先々の宿を抑えてあるからしょうがないが高知駅に入ったらプランを変更していこうと思う。

今日からは海沿いに入って行ってそのうち

「修行の道場 高知県」

に入る。

まずは山茶花の真隣にある平等寺で参拝を終わらせる。

おっ?

金だ金だ金だ~!!!

拾え拾え拾え~!!!

とはせず、何だろうと思って眺める。

どうやら足の悪い人や厄を落としたい人などが平癒や安全祈願のためにお金を置いていってるようだ。

何だか昔の建前の儀を思い出した。

空から降ってくるお金と角餅。

あれ角餅が頭に当たったらお陀仏だよな~と子供心に思っていた記憶。

そうこうして歩き出す。


遭難した体のダメージはデカいが天気がいいので

そこそこのんきに歩いて行ける

おっ!?何だ?!

カニ注意!?

君たち!

カニに注意だぞ?!!

何かフロリダみたいだなこの風景

そんなことを片隅で思いフロリダのロケは大変だったな~色々あったな~などと思い出に浸る。

そしてカニは1匹もでなかった。笑

またちょっと歩いて行くと

く、曲者っ!?

それがしは見張り奉行と申す!!

コイツ… できるっ…!!

この奉行、そこかしこに出現するんです。

それだけ不法投棄が多いんだろうなと。

確かに田舎だと

どうやって運んだかもわからない出所不明の軽トラとか車が錆びてジブリ化してるのは子供の頃からよく見かけていた。

【海パンおじさん】

道を行き

竹林を抜け

山を越え

そして抜けた先には

海!!

いやぁー 綺麗だ!!

私が育った新潟の海とは比べものにならない

そしてそこには

鶴林寺までにも何度もすれ違い

時には声を掛け合ったドイツ人のおじいちゃんがいた

私「昨日はかくかくしかじか」

ド「わお 大変だったなあ」

ド「弘法大師様が助けてくれたんだよ!」

二人「まさにそれな!笑」

ド「この海に入ってこいよ元気でるぞ!」

私「入りたいのは山々なんだけどあと10kmあるから体力温存したくてさ」

ド「この海が体力をくれるんだよ!」

ド「おれもう入ってきたよ」

彼が指さす先には

海パン!!!

おぬし、海パンを持ち歩くとは入る気満々じゃないか!

お遍路の荷物サイトにはどこにも海パンなんて載ってなかったぞ(笑)

休憩している私を尻目に

彼は一足先に進むようだ

私「またね~」

ド「きっと私の方が遅いからもう会わないかもしれんな」

私「そうかな?そうでもないと思うぞ」

ド「少なくとも今日は会わないな」

私「何でよ?」

フッフッフッフ…

謎の笑みを浮かべながら歩いて行くドイツおじいさん

おいおい!

そっちはお遍路道じゃないぞ!

まだ泳ぐ気かよ(笑)!!

そうして彼は砂浜に消えていったのだ…

ヨーロピアンは得てしてあんな感じの人多いよな~と思いつつ先に進む

と道沿いになんと!

STAND BY ME !!

いやあ いい!

こういうロケーションたまらない!!

ドイツ人おじいさんの海と似たような原理かと思う

ライフイズストレインジを思い出して泣きそうになる。涙

胸がキュンキュンする中でボーっと佇む

まさに人生もお遍路もライフイズストレンジのように選択の繰り返しなんだよなあ。

俺のクロエはどこ!?どこなのっ!?

ふぅ…

さて、先へ進もう

そして薬王寺に着いた頃には足は限界だった…

足が限界すぎて写真が…無い…涙。

じっくり見たかったお寺さんでもあったのだが人間とは弱いものである。

こんなにも蓄積ダメージがあってこの先いけるのか…

遭難してるときは斜めに傾いて足の置き場は両足分しかないところで落ちまいと踏ん張っているわけだから、体はずっと緊張しっぱなし力みっぱなしだったわけで。

そのダメージがそこかしこにきていた…。

案の定
さっきのドイツ人おじいさんと会った

彼は明日休みを取る

なんなら5日に1日は休みを入れてるんだそうだ

自分はジジイだからと言っていたが

私とそう変わらないどころか、私よりも重そうな荷物を抱えて徒歩お遍路通し打ちしてる時点で十分凄いよ!

納経とは別に彼は白衣に御朱印をもらう形で回っているっぽい。

わけを聞きたかったが聞きそびれてしまった。

死に装束として作ったり、病気の人へのプレゼントとして作ったり色々あるのだが、これをやって回っている徒歩お遍路は珍しい。

【大砂の京都女将】

そうして、やっとこさ宿へ辿り着く

「民宿大砂」

到着したはいいが

やってんのかココ…?

ビンポーン!

「いらっしゃいませ~」

こじんまりとして

それでいて品の良い初老の女将さんがお出迎えしてくれた。

簡単に言うと

普通の一軒家だ。

ちょっと部屋の多い一軒家。

ご丁寧に案内を頂きつつ
部屋へ入り着替えを済ませお風呂をお借りする

今日のお客さんは私ともう一人ビジネスマンの方だそうだ

こんな辺鄙な所へビジネスとはそれもまた大変だな~などと思いながらくつろぐ

急に飲み物に挟まれて出てくる

玩具トラップ!

これは子連れで子供がお父さんをシレっとだます時に使うパターンだ。笑

夕飯が始まった。

なんだかとても豪華で品数多いなあ!

贅沢!

それぞれのご飯がまた美味しい!
素晴らしきかな。

タケノコご飯とはまた粋な!

女将「毎日まいにちタケノコご飯作ってると息子が飽きるって文句言うんです~」

それもそうだ 笑

女将さんとお話するとボチボチと色々話してくださった。

元々は京都に住んでいたこと

こちらへ引っ越してきて息子さんと住みながら民宿をやっていること

旦那さんは先立たれてしまったこと

この宿はお遍路さんに向けた宿ではないが受け入れていること

息子さんは夜型だそうでいつ起きるかわからないから

ゴニョゴニョ👿

自分は運転免許は持ってないから買い物にも行くのが大変な事

息子がちゃんと朝起きれば

ゴニョゴニョ…😈

どうやら息子さんへの小言は溜まっているようだ。笑

私「いぜんお付き合いしてた人が京都でご縁があるんですよ。」

私「仕事でも京都でよく飲ませて頂いてました」。

女将「そうですか~それはそれは。」

私「京都の嫌味あるじゃないですか?あれ好きなんですよ~。」

女将「そんな言うほど強烈なんはないですよ~。」

私「京都育ちの人はみんなそう言いますけどそんなことある気がしますよ。」

話も弾み夕食も終わり

何だか私は女将さんに家族を重ね合わせていたように思う

私「ごちそうさまでしたっ!」

女将「まだお茶残ってますよう。」

とお茶をついでくれる。

こ、これはどっちだっ!?

もう部屋へ帰りなさいなのか

まだもう少しいてもいいじゃないの!なのか…

考えすぎると無限ループにハマるので私は自分の欲求に忠実になった。

ええい!ままよ!

私「ではでは頂きます。」

そう、どちらの意味であっても居座るスタイルなのである。

ぬらりひょんスタイル

次は地震と津波の話題になって

やっぱり地震は怖いとのこと。そりゃそうだ。

この宿はたぶん海抜が10mくらいだと思う。

女将「主人が裏の山にロープ垂らして登れるようにしてはったんやけど…」

女将「亡くなってからは今はもう放置されててえらいこっちゃなってますう」

女将「それでももし津波がきたら何が何でも登ればええ思てますけどね~笑」

ご主人への愛と寂しさが伝わってきたように思った

最後は確かタケノコが採れない話をした。

タケノコはこの辺ではあんまり取れず

イノシシと猿と鹿が食べてしまうんだとか。

平等寺のあたりがタケノコの名産だからそこから買ってると。

あれ?そう言えば山茶花の女将が

「今年はタケノコ取れんのよ~!近所にクレクレ言うてるんやけど持ってきてくれへん。笑」

とか言ってたなと。笑

あのポップさは見習いたいところだ。笑

そんなこんなで心静まる団欒は終わり

ダメージ残りが酷いのですぐに眠りに入って夜が更けていった。

Fin.

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