【山茶花の愉快な仲間達】
助かった夜は「山茶花」へ宿泊だった。
そして前回は内容がシリアスだったので割愛したが登場人物がそれなりにいる。
まず「ふれあいの里さかもと」で一緒だったハセさんもこの日は到着していた。
そして実はあの夜、もう一人いたおじさんも同じだった。
名前はだもんでさんとしよう。
話し始めと間によく
「だもんで!」
が印象強く挟まる人だったので。笑
確か愛知弁だったような気がする。
そして最後は、実は鶴林寺から太龍寺を登るときに何度もすれ違い、そして私が道を間違えるまで実は一緒に歩いていた人がいたのだ。
名前は福さんとしよう。
福さんはいつも一人で喋っている。笑
独り言が超デカイタイプなんだろうと思う。
太龍寺での納経所でも
ふん~っふん~ふっふ~♪♪
それでこの道にはどう行けば!?
と唐突に納経所の人に聞いて、彼がビビっているのを正面で私は見ていた。笑
いひひヒヒヒヒヒヒ
となんか常に笑っていたりもする。苦笑
そんな姿が七福神とか妖怪とかにいそうなキャラだなーと思ったのでその命名である。
私はというと、落ち込みテンションでとりあえずお風呂に入ったり、着替えたり、靴を乾かしたりとするべきことをしていた。
部屋の外から話し声が聞こえてくる。
だも「なんか~あの若者おるでしょう?だもんで、今日色々あったそうなんで話聞いてあげてくださいよ~だもんで~!」
と福さんに言っている。だもんでめ。
どうやら福さんは廊下を挟んで私の部屋が隣りのようだ。
そして私は若くはない。
お遍路している人たちの中で若いだけだ。
ド田舎の消防団とかそういった類いと同じ原理だ。笑
【妖怪福さんの巻】
せっかくのだもんでの優しさもあったわけだし、夕飯前に福さんと話をしてみることにした。
福「ほ~そんなことあったんだ!でも俺も山歩きするんだけんども、命があった事が一番よかったことだで!」
早口で強めの愛知弁を喋るので所々聞き取れないがそのような事を言っていた。
福「山歩きに慣れてる人はよ、人が入った形跡があるか、足跡があるか、植物に人為的な跡があるか、どれぐらいそこが使われてないのか、そう言ったことが経験と嗅覚でわかるようになるもんだ~」
福「迷惑もかかってねーわけだし、良い教訓だと思って反省すればいいんだ思うど~」
と励ましてくれる。
妖怪のくせになんて良いおっさんなんだ!
そして勉強になる内容でもあった。
もっとよく見て、もっとよく感じて、もっと面倒くさがらずアクションを起こして行くことを誓った。
女将さんも便乗して
女将「ヘリ呼べばよかったんちゃうん?どうせタダやし!」
一同 笑
などと冗談で和ませてくれたりもしていた。
いい人たちだ 涙
福さんは素行こそ変だが、よく観察し、よく相手の事を見ていて、かつよく楽しんでいるなーという印象がとても強かった。洞察力に優れているのだと思う。尊敬すべきところだ。
励まされ落ち込んだ気持ちと、ありがとうという気持ちを胸に部屋へと引っ込んだ。
【寝る前の反省と笑い】
実は私の部屋は謎の
20畳部屋!笑
ハセさんが先に到着しており、私の部屋を決める時に選ばせてもらったのだ。
この広さにも若干はしゃいで落ち込んだテンションとミックスされコーラと遊んでいたりした。
そして私は反省するために部屋で地図を広げた。そして気づいてしまった…
俺のバカバカバカ大馬鹿やろう!!!
ほんの一瞬でもあのとき地図を見ておけば…
少しでも地図の内容を頭に留めておけば…
後悔先に立たずとはまさにこのことだ。
しかも「一応通れる」と書いてあるが、現実は「今はもう通れない」としたほうがいいと思う。雨の影響もあったのか土砂崩れで道は途中から無い。
今回私が持参している
の制作者の方達と、お遍路保存協会の方達はご検討頂けたらいいなと切に思う。
タイミングを見て私からメールをしてみようとも思う。
この後の旅で私は地図を何度もどこでも見る癖がついたのは言うまでもないだろう…。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶとはよく言ったものだ。私は愚者だ。
しかし大愚は大賢に勝る、という言葉を信じこれからも成長していかねばと思っている。
そんなことを考えながらいたら福さんも部屋に戻ってきたらしく、こうして夜も更けてい…
はあー!
どっこいしょーっとぉ!
寝るべねるべー!
ああーよっこらしょーーーっとおぉ!!
うるせえぇ!!!笑
早く寝ろ!笑
ひと笑いもらった夜もこうして更けていくのだった…。
Fin.